素粒子は目に見えませんから、素粒子実験において粒子検出技術は欠かせません。本研究室では、特に半導体技術を用いた荷電粒子検出器の開発を進めています。例えば、我々の日常生活のあらゆる場面で使われている集積回路は、最近はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)技術でつくられています。この技術を荷電粒子センサーに応用することで、低物質量・低消費電力・高分解能なセンサーの開発を目指します。また、半導体材料はシリコン以外にも多くあり、中でもシリコンの約3倍のバンドギャップエネルギーとより早い飽和電子速度を持つ窒化ガリウム(GaN)に着目した、新しい荷電粒子検出器の開発にも挑戦します。LHCや将来の高エネルギー加速器実験において、これらの荷電粒子検出器は原子炉内部に匹敵するとてつもない放射線に晒されます。そのような過酷な環境の中でも安定して運用できる検出器を作るため、これらのセンサー技術の高放射線耐性化も重要な開発項目となります。


↑CMOS製センサー(左)とGaN製センサー(右)の写真。
主な共同研究先:九州大学、高エネルギー加速器研究機構、筑波大学、早稲田大学(電気・情報生命工学科)、CERN、ストラスブール大学、パリ大学、フライブルク大学など。
また、2030年から始まる高輝度LHCに向けて、現在ATLAS実験用シリコン検出器(Inner Tracker、ITk)の製作プロジェクトが進んでいます。日本からは13大学・研究所が参加するこのプロジェクトに、廣瀬研も参加し、重要な貢献をしています。現在は、合計3,000個近くのITkピクセル検出器モジュールの量産も佳境に入っています。この中で、モジュールの特性を詳細に調査したり、量産モジュールのITk検出器としての組み立て作業の中での性能評価、高輝度LHC本番での運用に向けたデータ収集システムやキャリブレーションシステムの開発など、廣瀬研でも幅広く研究開発を行っていきます。



↑(左)ITkピクセル検出器モジュール。(中)モジュール18個をカーボン製構造体に搭載した様子。(右)複数のモジュールを用いた読み出しシステムの開発。
主な共同研究先:ATLAS日本シリコングループ(高エネルギー加速器研究機構、筑波大学、東京科学大学、東京都立大学、お茶の水女子大学、大阪大学、九州大学)、CERN、ジュネーブ大学など